ご自分の入院の前にワンちゃんのしつけを依頼された飼主のお話です。バークバスターズのセラピストが経験した実際のレッスンであった深い愛情に胸がいっぱいになるお話です。

お問い合わせの電話で、その男性はとっても心配そうでした。
自分は入院が必要で、飼っているワンちゃんのお世話ができなくなってしまうこと、なんとか知人の女性にお願いしたけれど。そこには20歳を超えるネコちゃんがいて、そのネコちゃんは自分で食べることもできないのでそのお世話が大変だから、少しでもその方のご迷惑にならないようにと思いしつけを考えたこと、などを早口に説明してくださいました。
電話の感じはお元気そうでしたが60歳代くらい、その女性は70歳代とのことでしたので、ご説明のあと「飼い主の方がレッスンを続ける必要がありますが、そこをご理解いただけるならば全力でお手伝いします」とお伝えしました。
また、男性はホームページでバークバスターズの「一生涯サポート」についてご存知でしたので、「この先ワンちゃんに何かがあっても、またすぐ相談にのってくれるんですよね?」と確認していらっしゃいました。「もちろんです!」とお答えすると、安心したように「一日でも早く来てほしい」と仰ったのです。
レッスンは順調でした。このワンちゃんはとても素直で「バークバスターズのワンちゃんへの指示語」をすぐ理解し、その後もわざと言うことをきかない振りをすることもありませんでした。新しい群れの場所やメンバーやルールにもすぐ慣れていきました。ケージの中で吠えてしまう時にはこうやって「だめだよ」と教えてくださいね、とお伝えし、その日は帰りました。
その男性の次回の入院日が来週に迫っていたのでその前に、と思い6日後に再訪に行ってみると、本当にワンちゃんは変わっていました。「バークバスターズのワンちゃんへの指示語」でその男性を見上げる、「ハウス」と言ったらとことこ歩いてハウスに入る、お散歩の練習も飼主さんの前に出ないで歩ける、たった6日でこの違いに驚くほどでした。
「熱心に練習してくださったんですね、ありがとうございます」と私が男性に話した時、男性はこういったんです。「私は来月の今頃はもういないかもしれない、実は重い病気なんです。今度の入院が最後になるかもしれません。だからどうしてもその前にこの子にきちんと教えてあげたくて。この子はいい子になりましたよね、そうですよね?」それを聞いて、私は言葉がありませんでした。自分の人生の最後に、ワンちゃんの幸せをきちんと見届けるために頑張っているこの男性は、すごいと思いました。その思いをきちんと受け止め、一緒にレッスンを続けてくれた女性もまた素晴らしいと思いました。
「何かあったらいつでも相談にのってくれるんですよね?」
と最後まで聞いていた男性の笑顔は一生忘れられないでしょう。

セラピスト 東京都世田谷区 担当 大倉由季